借金して投資? 無謀な愚か者か、それとも理性的な選択か
最近ニュースを見ていると
今や二重ローン・三重ローン・四重ローンが同居する時代になったらしい
多くの人が信用ローンを組んで不動産や株に手を出し
さまざまな「ハイリスク」のレッテルを貼られている
これは少年株神の伝説なのか
それとも理性的な選択の産物なのか
「恐怖は未知から生まれる」
雷に驚いて踊り出すくらいなら、自分で少し調べてみたほうがいい
この記事は、私が調べた中での心得の一部だ
ついでに、信用ローンで株を買うこの行為を比較する小さなツールも作ってみた
この時代において投資はもはや選択科目ではない、という点にはあなたも同意してくれると思う
それなら、私と一緒に「借りる」ということについて知っていこう
借金して投資することの本質とは?
借金して投資すること(実はこれも一種のレバレッジだ)の核心は、結局たった一文に尽きる:
あなたは「投資リターン」が長期的に「借入コスト(利息)」を上回ると期待している
つまり、投資リターンと借入利息の差(利ざや)のことだ
この利ざやがプラスでありさえすれば
あなたは安い利息で
他人の資金の「時間」を買い
そのお金を早めにあなたのために働かせることができる
これは多くの金融機関の収益モデルの一部でもある
低い資金調達コストで資金を得て
それをより高いリターンの資産に配分し、利ざや収益を稼ぐのだ
問題は
現実の生活では、この利ざやが
ずっと存在し続けると誰も保証できないことだ
ではなぜ、それでも人々はこぞって飛びつくのか?
そしてその裏にはどんなリスクが隠れているのか?
これからひとつずつ、じっくり味わっていこう
だがその前に
比較する対象をはっきりさせておく必要がある
対照群:「積立投資」と比べてみる
そもそも借金して投資する前提は、ある銘柄に投資して
得られるプラスのリターンが利息を上回るというものだ
だから本来比較すべきは
毎月同じ金額を投じるが
借金はせずに
その資金を積立で同じ銘柄に投じる、というやり方だ
つまり一括投資 LSI(Lump Sum Investment)
vs.
積立投資/ドルコスト平均法 DCA(Dollar-Cost Averaging)
これがまさに、小さなツール 借金投資シミュレーター の設計思想だ:
- 借入による一括投資:お金をまとめて借り、すぐに全額を指数に投じ、その後は毎月、元本+利息を返済する
- 積立投資:借金はせず、毎月の返済額と同じ金額を、少しずつ同じ指数に投じていく
どちらの戦略も毎月差し出す現金はまったく同じ
唯一の違いは、借入による一括投資が資金を「市場へ早く参加させる」点で
その代償があの利息なのだ
実際に計算してみる:300万円を借りる7年の信用ローン
仮にあなたが300万円の信用ローンを抱えているとしよう
金利3.5%、7年返済
換算すると毎月の返済額は約 40,320円
投資対象には SPY を選ぶ(1996〜2025、直近30年の年率リターンは約10.2%〜10.8%)
シナリオA(借入による一括投資):300万円を借りてすぐに年率10%の SPY に投じ、その後毎月40,320円を返済する
シナリオB(積立投資):借金はせず、毎月40,320円を同じ ETF に積立で投じる

| 項目 | 借入による一括投資(LSI) | 積立投資(DCA) |
|---|---|---|
| 満期時の総資産 | 約584.6万 | 約479.7万 |
| 支払利息の合計 | 約38.7万 | 約0万 |
| 投資の純リターン | 約245.9万 | 約141.0万 |
- 毎月差し出す現金:約4.03万
- 7年間の総投入額:約338.7万
- 資産の差:借入による一括投資は積立投資より約104.9万多い
同じく毎月4.03万を差し出していても
借金した人は、300万円が初日から市場で複利運用されているおかげで
7年後にはおよそ 104.9万 多く増やせた
ここから約38.7万の利息コスト合計を差し引いても
なお大きくリードしている
固定リターン率かつリターンが借入コストを上回るという理想モデルの下では
レバレッジはプラスの期待値をもたらす
つまり、資金を早めに市場へ入れることで得られる収益が
借入コストを上回る可能性があるということだ
では実際のところはどうだろう?
「理論上は勝つ」=「あなたは絶対に勝つ」?
ここまで見ると
リターン率さえ安定して貸出金利を上回っていれば
借金して投資すれば確実に勝てる、という気がするだろう
だが五条悟が「勝つよ」と言えば、本当に勝てるのか?
もしこの世のリターン率が本当に滑らかに右肩上がりの直線なら
たしかにそうだろう
そしてその場合、信用ローンの金利は株のリターン率と同じくらい高くなるはずだ
お金があれば、誰だって拾わない手はないのだから
だが現実の市場は、安定して上昇する斜線ではない
そして最も致命的なのがリターンの順序リスクだ
リターンの順序リスク
簡単に言えば
一括投資は途中で新たな資金が追加されないため
もし先に下がってから上がる状況に出くわすと
積立投資はより安い価格で買えるチャンスがあり
最終的に一括投資より大きなリターンをもたらしうる
仮に LSI は合計300を投じ
DCA は150を2回に分けて投じるとする
| シナリオ | 価格の推移 | LSI 最終資産 | DCA 最終資産 |
|---|---|---|---|
| 先に上昇、後に下落 | 100 → 240 → 120 | 360 | 255 |
| 先に下落、後に上昇 | 100 → 50 → 120 | 360 | 540 |
借金投資がリターンの順序リスクをとりわけ気にする理由は
借りた資金が初日にすべて市場へ入っているからだ
もし市場が最初から大きく下落すれば
最大の元本がただちにリスクにさらされる
一方で積立投資は、下落の期間中にむしろより多くのポジションを積み増せる
だからこそ、ある種の「先に下落、後に上昇」のシナリオでは
DCA の結果が LSI を上回ることさえある
借金して投資する際に最も恐ろしいのは、借入の最初の1〜2年で大暴落に見舞われることだ
初期は元本が最も大きいため
ひとたび株価が半値になれば
その後に市場が持ち直しても
複利の効果は大きく損なわれてしまう
これこそが、第二部にシミュレーション機能を加えた理由だ
投資対象は同じく SPY を選ぶ(1996〜2025、直近30年の年率ボラティリティは約16%〜18%)
年率リターン10%、ボラティリティ18%と仮定し
単年の最大下落幅を37%(リーマンショック級の下落)とする
モンテカルロ・シミュレーションを2,000回回すと
このような状況では、借入による一括投資が勝つ確率は約7割であることがわかる
さらに、約14%のシミュレーションシナリオでは
投資期間中に、資産の時価がローン残高を下回る場面が現れた
つまり、株をすべて売っても負債を返しきれない時期が生じる可能性があるということだ
もしこのとき値動きに耐えられず損切りして投げ売りしてしまえば
その後の手厚いリターンは得られないかもしれない
たとえ運良くこの状況に陥らなかったとしても
ひとたびキャッシュフローが期日どおりに返済できなくなれば
やはり株を強制的に売らされる事態に直面しうる
これらのリスクもすべて考慮に入れておく必要がある
ただ、よく見てみると
リターンの順序リスクはあなたの利益を減らすかもしれないが
長期保有を固く貫けさえすれば
リターン率の差は実はそれほど大きくない
長期的に見て、投資リターンが借入コストを上回り続けるかぎり
借入による一括投資はやはり高い期待値を持っている
では結局、借金して投資するのは自分に向いているのか?
私がとても好きな投資の先輩(大仁兄さん)が、こんなことを言っていた
もしあなたがこの単純な yes/no の質問を尋ねているだけなら
それはまだ準備ができていない証拠だ
答えは NOOOOOO だ
私は自分なりにそれをいくつかの問いに分けてみた
皆さんが自分自身を整理する助けになればと思う
真剣に検討してもよい人
- 借りるのが低金利・長期のお金である人。たとえば借り増し後の住宅ローンや、低金利の信用ローンなど
- 安定して予測可能な収入があり、月々の返済が占める割合が高くなく、急に給料がなくなっても返せなくなることがない人
- この投資とは別に独立した緊急予備資金を残してある人
- リスク許容度が高く、ぶれない長期投資家である人
本当に手を出してはいけない人
- 緊急予備資金や、ひいては生活費まで一緒に突っ込んでしまう人
- 収入が不安定だったり、返済が一度途切れると資金繰りが回らなくなる人
- 帳簿上の含み損を見ると眠れず、思わずどん底で損切りして投げ売りしてしまう人
- 私の一面的な心得だけを読んで、他に何の下調べもしていない人
私の次の一歩
もしあなたが今、借金して投資することのリスクとチャンスを考えているなら
行動に移す前に、次のことをもう一度考えてみてほしい:
- 自分のキャッシュフローを棚卸しする
- 自分のリスク許容度を見直す
- 十分な緊急予備資金を準備する
- 自分の投資対象を評価する
- さまざまなシナリオでの対応方法を考える
成否を本当に決めるのは
多くの場合、投資リターンがどれだけ高いかではなく
最悪の状況でも
あなたが市場に居続けられるかどうかなのだ
本計算機および本記事は教育目的の参考のみを意図しており、単一の固定リターン率による確定的な試算を採用しています。市場のボラティリティ、リターンの順序リスク、税務、個人の状況は織り込んでいません。借金して投資することはレバレッジ行為であり、リターンと損失を同時に拡大させます。実際の判断にあたっては、有資格のファイナンシャルアドバイザーに相談し、無理のない範囲で行ってください。